What is パセリ流星群

 

ご挨拶

作者一覧

・What’s new 

<NEW!!>スケザネ『贅沢な読書会記~『熱帯』をめぐって④~』(2/28公開)

<NEW!!>op.5 "Life In Rainbow Bubbles" (2/2更新)

<NEW!!>戀『夜明け。』(12/31更新)

スケザネ『沈黙しない読書会と直後の読書会~『熱帯』をめぐって③~』(12/18公開)

スケザネ『森見登美彦と太宰治~『熱帯』をめぐって②~』(12/8公開)

スケザネ『森見登美彦『熱帯』をめぐって』(11/26更新)

クヌルプ『その1』(ランダム・ウォーク)(11/24更新)

tk『ポータブル宇宙』(11/18更新)

戀『日常。その2』(11/15更新)

雨伽詩音『たましいのふるさと』(10/8公開)

パセ流に関する動画が公開されました!!(9/19公開)

杏仁霜『AM11:11』(8/13公開) 

 

・ twitterパセリ流星群(@parsleymeteor)

連絡先parsleymeteor@gmail.com

贅沢な読書会記~『熱帯』をめぐって④~

bukatsu-do.jp

 

 

贅沢な読書会

 

横浜のイベントカフェBUKATSUDOで開催されている「贅沢な読書会」。

 

批評家の瀧井朝世さんがモデレーターを務められる二週に渡る読書会で、

一週目は瀧井さんと参加者たちで読書会、

そして二週目にはその課題作品の作者も交えての読書会という、

文字通り「贅沢な」イベントである。

 

そして、2019年2月17日と23日に行われた、

第32回の課題作品は、森見登美彦『熱帯』。

 

続きを読む

夜明け。

 

――ある朝を見たときから、それは始まっていたんだ。

ただ1つの奇跡を願って。

 

僕は夜空を見上げる。

朝は近い。きっと、そろそろ太陽が顔を出し始める頃だろう。

肌寒い。はぁ、と吐いた息は白かった。体をさする。

 

僕は太陽を待っていた。

 

たとえ世界が闇に包まれていても、時間だけは変わらない。

残酷なまでに、万物に平等な“時”を与え続ける。

地球が崩壊した後、『時間』という概念が残り続けるのかは知らないが、

きっとそれでも、当たり前のように、太陽は在るのだろう。

 

1年前も、僕はこの場所にいた。そして夜明けを待っていた。

この暗い、暗い、闇の中で、ただ1つの奇跡を願って。ただ1つの軌跡を辿って。

 

しんしんと冷える。じりじりと待つ。まだなのか。早く、早く。

朝は来ないのか。

 

徐々に、ゆっくりと、もったいぶったように、太陽が地平線の彼方から顔を出す。

朝日が、差し込んでくる。

まぶしくて、思わず目を細める。暗さに慣れた目には鮮烈すぎた。

まぶしさと共に、あたたかさも感じる。

命と恵みを与えてくれるもの。希望と勇気を与えてくれるもの。

時には「明日」がくることに、絶望を感じることもあるけれど。

それでも「今日」がくることに、どこか安堵している自分もいる。

 

よし、と呟いて、ぱんっと頬を両手で叩いた。

また1年、がんばろう。

神様、見ててね。

 

あけまして、おめでとう。

(――僕の挑戦が。)

沈黙しない読書会と直後の読書会~『熱帯』をめぐって③~

沈黙しない読書会と沈黙しない直後の読書会
 ~森見登美彦『熱帯』をめぐって③~

 

 以前の『熱帯』に関する記事はこちら

森見登美彦『熱帯』をめぐって - パセリ流星群

森見登美彦と太宰治~『熱帯』をめぐって②~ - パセリ流星群

 

 

 夏の嵐のように過ぎ去り、冬のひまわりのように面妖な二日間だった。

 あの二日だけ、私の日常からぽっかりと遊離して、今でもどこかをふわふわ飛び回っているような、そんな感覚である。

 

f:id:parsleymeteor:20181218193505j:plain

https://books.bunshun.jp/articles/-/4536

 

 

 森見登美彦『熱帯』から生まれた謎は紙面を飛び出し、読者たちを更なる冒険へと駆り立てた。

 

2018年12月15日土曜日

『熱帯』に関する公式イベント「沈黙しない読書会」

2018年12月16日日曜日

『熱帯』に関する非公式イベント「沈黙しない直後の読書会」

 

続きを読む

森見登美彦と太宰治~『熱帯』をめぐって②~

 

森見登美彦太宰治~『熱帯』をめぐって②~

  

 前稿(『森見登美彦『熱帯』をめぐって』) は幸いにして多くの方々にご覧いただき、少なからぬ反響を頂戴しました。

 本当にありがとうございました。

 SNSというものの広大さを改めて思い知るとともに、森見登美彦という作家の大きさに感動を覚えた次第です。

 

f:id:parsleymeteor:20181208203806j:plain

 

 

続きを読む

【本屋大賞】森見登美彦『熱帯』をめぐって【直木賞ノミネート】

森見登美彦『熱帯』をめぐって~ 

 

 f:id:parsleymeteor:20181126002738j:plain

 

※本稿は森見登美彦『熱帯』(2018.11 文藝春秋)に関する感想です。

あまりネタバレはしませんが、多少は作品内容に触れるので、まっさらな状態で楽しみたい方は読み終えてからまたいらしてください!

 

続きを読む

その1(『ランダム・ウォーク』)

(プロローグはこちら)


 

(*)



 

 自慰をしながら、心のなかに、古い洞窟を思い浮かべる。

 

それは狭くて、薄暗くて、乾いていて、居心地の良い場所。

 

人びとは、暴風雨に行き当たった時だけ、洞窟に駆け込んでくる。ひととおり水を落とし、服を脱ぎ、裸の背をひんやりとした砂地に横たえる。

 

世界にとって僕は、そうした洞窟のような存在なのだと思う。

 

雨はじきに止み、人びとがまた外に出ていくことを、僕は知っている。酒に酔ったように浮かれて、心のひだまで分かちあってくれた人が、振り返ることなく洞窟を後にする姿を、何度も見送ってきた。

 

きみが暗闇で見せてくれた火傷の跡に、なすすべもなく欲情する。僕は、僕が洞窟であることを心から喜び、そして憎んでいる。きみをこの胎内に捕まえておきたいという願いが叶うことは、永遠に無い。

 

静まり返ったアパートの布団のなかで、僕は射精を迎える。その瞬間だけ、世界との間に不完全な橋が架かる。吐き出された温かな生き物の気配をティッシュ越しに感じて、悔しく甘酸っぱい感情が、胸を満たす。

続きを読む

『ポータブル宇宙』tk

tk『ポータブル宇宙』

 ある時、プレゼントに、宇宙をもらった。
 「まだ大人とは言えないけれど、子どもというほどでもないから」とお母さんが言っていた。
 最近特に大流行りのやつで、皆持っているものだ。ただ、全く同じものはなくて、皆新しい漫画を読むように夢中になっている。電車の中でも、家の中でも、公園でも、誰もがいつでもどこでも触っている。お父さんが言うには、大人は夜の酒場でも触っていて、グラスを傾けながら、お互いの宇宙を見せ合ってよくぞこんなの作ったなと讃え合ったり、一人のやつについてうんうんアイデアを出し合ったりしているらしい。

続きを読む