op.5 "Life In Rainbow Bubbles"

op.5 "Life In Rainbow Bubbles"

 

長い長いこの旅は、いったい何色の幕を下ろすのだろう。

 

赤、オレンジ、黄、緑、水色、青、紫から選んでほしい。

 

 

例えば黄なら、幼き夏の日、思い出のひまわり畑。

 

例えば青なら、一人旅の果てに訪れた、どこまでも遠く空と海が出会う場所。

 

そして例えば、紫ならば、

 

きっと僕にはたどり着けない、宇宙の向こうの星間オーロラ。

 

 

さて、君は何色の幕を選ぶのだろう。

 

この沢山の、七色のシャボン玉のような可能性から。

 

 

 

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君が選んだ赤色は

 

返り血で染められた、紅の幕

 

理解されぬ信念という船に掲げられた、大きな真紅の幕帆

 

折れぬ強き意志は、真なるコンパス

 

孤独に潰されぬ意思は、偉大なる航海図

 

やがて辿り着く宝島で、身も心も朽ち果てるとき

 

本当に摩耗したのは君か世界か

 

 

 

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投げ捨てていた

 

諦めていた

 

肥大化した文字だけ綴ったって、結局は空虚なんだと

 

似たような言葉だけ並べたって、ただの記号列なんだと

 

自ら意味を込めることを放棄して、他者に理解を投げかける暴力なのだと

 

例えばみかんの皮のオレンジ色と

 

輝く夕日の橙色が

 

どのように同じで、どのように違うのかを考えることを

 

僕はきっと、同じ文字で綴って、意味など考えないようにしていた。

 

 

 

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日常。その2

日常で思ったことを、つらつらと。徒然なるままに。

第2弾。

 

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どう足掻いたところで 合わない人はいる

なぜなら 自分とは違う人生を歩んできた他人だから

だから 一緒にいて疲れない人というのは とても貴重な人だと思う

お互いに「また会いたい」と思えるなら 最高である

そういう人が一人いるだけで 救われた気持ちになる

 

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「えー、いい人じゃん。〇〇してみればいいのに」

あなたにとっては「いい人」でも

私にとっては「いい人」ではない

だからそんなに 価値観を押し付けないで

「そっか」「そうなんだ」で済ませてほしい

 

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どんな人にも「病理」というのはあって

多くの人は それと上手く付き合いながら生きている

それがどうしようもなくなったとき

ずっと誤魔化し続けるか

見ないふりをし続けるか

蓋をして奥底に閉じ込めておくか

それを暴いて上手く付き合う方法を探すのかは

あなた次第

 

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努力は必ずしも報われるとは限らないが

必ず何かにつながる経験にはなっている

 

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自分がいつも「勝ち負け」の考え方になっていたと気付いて

その考え方を 意識的に捨てるようにしたら

少し 生きるのが楽になった

あの人はあの人 私は私

私には「それ」が出来なかったからといって

私のすべてがあの人より劣っているということにはならない

 

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古本祭2018 雑感

 本読みの人間にとって、十月の末から十一月初頭にかけてという季節は、心中穏やかではない季節である。

 神保町古本祭である。

 常日頃から、本の町として名高い神保町に、日本中の古本屋が出店を出し、既存の店舗もいつも以上に力をいれて、大放出を行う。文字通り、本のお祭である。私も本を読むようになってから、毎年欠かさずに足を運んでいる。

 本稿では、今回私が購入した品々の一部とそれに関する所感、紹介を行いたい。

 

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日常。

日常っぽいものを、つらつらと。

 

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人間を もう数十年やっているが

未だに コミュニケーションというものを

どうやればいいか 悩んでいる

 

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笑顔は魅力的だけれど ずっと笑顔の人は怖い

本当は何を考えているか 分からないから

それよりも 喜怒哀楽がはっきりしている人のほうが

安心してしまう自分がいる

 

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たまに 会話の仕方が分からなくなるときがある

どこを見て話せばいい?

声のトーンは? 音量は?

表情は? 身振り手振りは?

話題は? 会話のスピードは?

ぐるぐる ぐるぐる 混乱して

歪な笑みを浮かべた自分が 鏡の中に映っている

 

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「桜が綺麗だね」と言ったら 「桜が綺麗だね」と返ってくる

「暑いね」と言ったら 「暑いね」と返ってくる

「紅葉が綺麗だね」と言ったら 「紅葉が綺麗だね」と返ってくる

「寒いね」と言ったら 「寒いね」と返ってくる

 

同じ時 同じ季節を

君と二人で 過ごしている

 

縁側で お茶でも飲もうか

今日もまた、二人で。

 

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人は それぞれが

何かの専門家である。

 

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楽しい時は 楽しい歌を歌いましょう

悲しい時は 悲しい歌を歌いましょう

らんら るるる ららー るるー

あれ? 何で歌ってたんだっけ?

 

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この一瞬のきらめきを

どうか逃さないで

 

瞬いたとたんに みんな「過去」になってしまうから

つかもうとしても それは羽根のように 風に乗って去っていってしまう

 

忘れないで 

今の悲しみを

忘れないで

今の喜びを

 

たとえ 時の砂が零れ落ちるのに抗えなくても

想いだけは あなたの胸の奥底に 残っている

 

この一瞬のきらめきを

どうか 

 

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op.4 "Words That Swept Away"

op.4 "Words That Swept Away"

 

瞳を閉じて、耳を塞いで

 

そうして僕は融けていく、遥か夢見た藍色のうちへ

 

影も形も、自分も世界もない

 

深淵静寂の幻の果てで

 

僕はいったい、何に言葉を奪われたのだろう

 

何一つとして僕を脅かすもののないこの水底で

 

どうして僕は、呼吸を止めたのだろう

 

 

 

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我々は、足と引き換えに言葉を手に入れる。

 

なにかに触れた時、なにかを感じた時、

 

その領域に踏み込む一歩を畏れ、言葉を掲げる。

 

陽の光すらも届かぬ、感情と理性の狭間の冥き途を、

 

歩いて、走って、やがて世界の果てまで辿り着くのを、ただ畏れ。

 

そう、だから我々は、この可視世界だけを言葉で語るのだ。

 

さらなる深淵のうちの、僅かな光を探す足と引き換えに。

 

 

 

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歌が聞こえる。

 

言葉を失ったぼくの世界に、

 

確かに今、歌が聞こえる。

 

それは狂気の果ての幻聴か、

 

また冥き途を示す真理の声か。

 

その歌声は暗く寒い水底にて、

 

「火はなぜ燃えるの?教えて」と

 

凍りかけたぼくの身体のそばへと灯火を置いた。

 

 

 

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水面に溶けゆく太陽から顕れたかのように

 

鮮やかな赤い髪の乙女が、沈みゆくぼくの手をとった

 

ぼくが言葉を捧げたのは、君を満たす台詞が見つからなかったからに他ならないのに

 

君は世界を旅する脚を棄て、ぼくを救い上げる言葉を歌った

 

「もう逃げないから、脚はいらないの」と君は言う

 

ああ、そうか、ぼくの脚は、冥き途を往くためなどではなく

 

ただ、逃げるためだけに

 

ぼくの静寂は、世界の果てに踏み込むためなどではなく

 

ただ、ぼくの世界で君を語ることを放棄するために

 

ただ、ただ

たましいのふるさと

どうかどうかあなたさまのお声を私にください。あなたさまの綺麗な指を私にください。私は名もなき魑魅(すだま)です。姿形も声もなく、ただ啾々(しゅうしゅう)と吐息をこぼして泣くばかり。あなたさまの琵琶を奏でるお手があれば、あるいはあなたさまの朗々と歌うお声があれば、私はたくましい腕(かいな)でこの里を抱く、山の主たるあのお方に想いを伝えられましょう。かつては花に囲まれて、朝に夕にお酒をいただいておりましたのに、里は滅びて人はなく、今となっては住まいの祠も毀(こぼ)たれて、山をさまよい川に裳裾を遊ばせて、美しいあのお方を探しては、涙ばかりが川面に砕けて、きらきらと光る石になります。百年前、私はこの里の女でございましたが、橋を一本架けんがためにと人柱となったのでした。あのお方の手によって私は川の精となり、いつしか神と崇められ、父母の無念も報われようかと思いましたのに、まもなくして二親も病に倒れ、袖の乾く寸暇もなく、日々を過ごしてまいりました。あのお方のお心遣いだけが私の慰めでございましたのに、こうして里も滅びましてからはあのお方も命を共になさったようです。左様でございますから、あなたさまのお声を私にください。あなたさまの綺麗な指を私にください。天津国に届けられるのはあなたさまの楽の音だけでございましょうから。

『鏡』『たんぽぽ』『仮面』

寄せ集めたち①

 

掻き毟るような憎悪を抱え

怒りの拳を叩き付ければ

割れた鏡の向こう側で

「キミ」が嗤った気がした

 

手から滴る赤いものは

自分が流した心の涙か

床に散らばる破片たちは

自分の壊れた心の代わりか

 

割れた鏡の向こう側で

「キミ」が嘲笑(わら)った気がした

 

――― 題名:『鏡』。

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