ランダム・ウォーク

その1(『ランダム・ウォーク』)

(プロローグはこちら) (*) 自慰をしながら、心のなかに、古い洞窟を思い浮かべる。 それは狭くて、薄暗くて、乾いていて、居心地の良い場所。 人びとは、暴風雨に行き当たった時だけ、洞窟に駆け込んでくる。ひととおり水を落とし、服を脱ぎ、裸の背を…

プロローグ(『ランダム・ウォーク』)

夢と思い出は、とてもよく似ている。 僕たちが、記憶の選択という点に関して、決定権を持たないという意味において。 夢は五感を欠いた偽物の体験であり、心に留めようと念じれば念じるほど、蒸発するかのように消えていってしまうものだし、思い出について…