雨伽詩音

たましいのふるさと

どうかどうかあなたさまのお声を私にください。あなたさまの綺麗な指を私にください。私は名もなき魑魅(すだま)です。姿形も声もなく、ただ啾々(しゅうしゅう)と吐息をこぼして泣くばかり。あなたさまの琵琶を奏でるお手があれば、あるいはあなたさまの朗々…

白洲正子とわたし

白洲正子との出会いは高校時代にさかのぼる。当時から読書感想を通じてつながりあう「読書メーター」というSNSを利用していた私は、白洲正子の『かくれ里』の存在を知り、地元の書店でちょっと奮発して講談社文芸文庫の『かくれ里』を手元に迎えた。 かくれ…

女郎蜘蛛の男

文士稼業も楽ではない。あのお方に見初められて早七年、今際の際を看取った折りにこの筆を託すと仰せられて、筆塚に埋め損なった筆だけが私の形見となりました。四宝といえば筆に硯、墨に紙と申しますが、もっとも大切な硯は奴が貰い受けましたから、私は筆…

補陀落渡り

この薄暗い座敷から遠く隔たった海の彼方に御仏のおわします地があると云います。後光を浴びた金色の光り輝く御姿に救いを求めたところで詮ないこと。光の届かぬこの部屋に閉ざされ、不治の病を得てやせ細った体では、最寄りの御堂まで辿りつくのもやっとで…

雨伽詩音

雨伽詩音(アメトギシオン) <自己紹介> 耽美主義を掲げ、雪月花や花鳥風月をモチーフに、東洋風幻想小説を中心に詩を書き、俳句を詠みます。 こちらには主に小説と散文詩を載せさせていただく予定です。