夜明け。

 

――ある朝を見たときから、それは始まっていたんだ。

ただ1つの奇跡を願って。

 

僕は夜空を見上げる。

朝は近い。きっと、そろそろ太陽が顔を出し始める頃だろう。

肌寒い。はぁ、と吐いた息は白かった。体をさする。

 

僕は太陽を待っていた。

 

たとえ世界が闇に包まれていても、時間だけは変わらない。

残酷なまでに、万物に平等な“時”を与え続ける。

地球が崩壊した後、『時間』という概念が残り続けるのかは知らないが、

きっとそれでも、当たり前のように、太陽は在るのだろう。

 

1年前も、僕はこの場所にいた。そして夜明けを待っていた。

この暗い、暗い、闇の中で、ただ1つの奇跡を願って。ただ1つの軌跡を辿って。

 

しんしんと冷える。じりじりと待つ。まだなのか。早く、早く。

朝は来ないのか。

 

徐々に、ゆっくりと、もったいぶったように、太陽が地平線の彼方から顔を出す。

朝日が、差し込んでくる。

まぶしくて、思わず目を細める。暗さに慣れた目には鮮烈すぎた。

まぶしさと共に、あたたかさも感じる。

命と恵みを与えてくれるもの。希望と勇気を与えてくれるもの。

時には「明日」がくることに、絶望を感じることもあるけれど。

それでも「今日」がくることに、どこか安堵している自分もいる。

 

よし、と呟いて、ぱんっと頬を両手で叩いた。

また1年、がんばろう。

神様、見ててね。

 

あけまして、おめでとう。

(――僕の挑戦が。)